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同時に発がん遺伝子のMO2もスイッチがオンになれば、その増殖の機会が非常に高くなるのである。
これに対して、ADAはアデノシンをイノシンに変換するための酵素なので、常時はたらいていてもそれだけでリンパ球が増えることはない。
それでも、がん遺伝子のそばに入ってがん遺伝報告が入った。
2人の遺伝子治療をスタート北大では、アメリカとイタリアの中間の方法を選んだ。
酵素補充療法はやめる。
しかし、化学療法剤を使った前処置はしない。
というのは、化学療法剤が発がんに拍車をかける可能性があるからである。
フランスの例からも、治療効果は下がっても安全性を優先した。
患者の適応性を比べると、最初に遺伝子治療を受けた男の子は少し余裕があった。
酵素補充療法をしてもリンパ球の増えかたが低い4歳の女の子を先に治療すべきと判断した。
この女の子は、生後まもなくせきと軽い発熱のために関西医科大学の小児科を受診した。
血液検査の結果、リンパ球数が非常に少ないということで北大に相談があった。
生後1ヶ月でリンパ球数が約300個しかなく、遺伝子診断からもADA欠損症であるとわかった。
しかし、両親にとっては最初の子で兄弟がいないため、親から骨髄移植をするか、酵素補充療法をするかの選択しかなかった。
子のスイッチをオンにする可能性は当然あるが、γCとのちがいを患者に十分説明して、リスクがあっても治療するほうが有益だろうと考えられた患者には治療をはじめていいという合意が03年2月、アメリカでは整った。
これを受けて北大でも、遺伝子が入っている場所を定期的にフォローできるような体制やインフォームド・コンセントの内容をつくりなおし、あらためて厚生科学審議会の審査を受けた。
また、患者の適応性を客観的に評価してもらう委員会を学内につくり、03年9月、ADA欠損症に関しては血液幹細胞を使った遺伝子治療をはじめてもよいというゴーサインが出た。
99年のこの時点では、最初の男の子の遺伝子治療が終了し、副作用もなくそれなりの効果があるとわかっていたので、危険性があって効果が定かでない骨髄移植よりは、酵素補充療法をしながら遺伝子治療の機会を待つことになった。
生後4ヶ月から週1回の酵素補充療法をはじめたが、酵素を打っても多くて500個ぐらいにしかならないため、家での限られた生活を強いられていたというのが、この女の子の状況だった。
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